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せどりの利益が少しずつ増えてきて、「そろそろ税理士に頼んだほうがいいのだろうか」と考え始めた方もいるのではないでしょうか。一方で、費用がいくらかかるのか分からず、相談すること自体をためらってしまうこともあります。この記事では、自分でやるか頼むかを分ける目安と、税理士に頼めること・頼めないこと、依頼する前に自分で準備しておけるものを整理します。
確定申告は税理士に頼まなくても自分でできます。頼むかどうかを分けるのは売上の金額そのものではなく、「帳簿を継続してつけられているか」「青色申告特別控除の要件を満たせているか」「自分で判断できない取引が出てきたか」の3点です。税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の独占業務で、税理士以外に依頼することはできません。費用は事務所ごとに異なるため、相場を鵜呑みにせず、自分の取引量を示したうえで見積もりを取るのが確実です。
- 税理士に頼まなくても確定申告はできる
- 自分でやるか頼むかを分ける3つの目安
- 税理士に頼めること・頼めないこと(税理士法の話)
- 費用の考え方と見積もりの取り方
- 依頼する前に自分で準備しておくもの
- 頼まない場合に使える相談先
税理士に頼まなくても確定申告はできる
まず前提として、個人が自分の確定申告を自分で行うことに制限はありません。せどりの確定申告で説明したとおり、必要なのは1年間の収入と経費を集計し、期限内に申告することです。記録の付け方も、手書きでも表計算ソフトでも会計ソフトでも構いません。
そのうえで税理士に頼むかどうかを考えるとき、「売上がいくらを超えたら」という金額の線引きで判断されることがあります。ただし、同じ売上でも取引の件数や内容によって手間はまったく違います。金額だけを基準にすると、必要ないのに頼んでしまったり、逆に必要な段階を見逃したりします。
始めたばかりの段階で税理士を探す必要はほとんどありません。まずは記録を続けられる形を作るほうが先です。記録が続いていれば、後から依頼することになっても、渡す資料がそのまま使えます。
自分でやるか頼むかを分ける3つの目安
金額ではなく、次の3点で考えると判断しやすくなります。
目安1: 帳簿を継続してつけられているか
申告の負担の大半は、確定申告の時期ではなく日々の記録にあります。仕入れと売上の記録が溜まったまま手つかずになっている、あるいは月末に思い出しながら入力している状態が続いているなら、依頼を検討する材料になります。逆に、仕入れ記録を定期的に振り返る習慣ができているなら、当面は自分で進められる可能性が高いといえます。
目安2: 青色申告特別控除の要件を満たせているか
青色申告特別控除は、要件によって控除額が変わります。国税庁のNo.2072 青色申告特別控除によると、55万円の控除を受けるには、不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること、取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること、貸借対照表・損益計算書等を確定申告書に添付して期限内に提出することが必要とされています。
さらに65万円の控除は、この55万円の要件に加えて、仕訳帳および総勘定元帳について電子帳簿保存を行っているか、確定申告書・貸借対照表・損益計算書等の提出を期限までにe-Taxを使用して行うことが必要と説明されています。これらに該当しない青色申告者が受けられるのが10万円の控除です。
複式簿記による記帳と貸借対照表の作成が自分では難しいと感じるなら、そこが依頼を検討する分かれ目になります。
目安3: 自分で判断できない取引が出てきたか
せどりを続けていると、判断に迷う場面が出てきます。自宅の一部を作業場所にしている場合の家事按分、年をまたぐ在庫の扱い、複数の販路にまたがる売上の集計などです。調べても確信が持てない項目が増えてきたら、その時点が相談を考えるタイミングです。
「年商◯◯万円を超えたら税理士」という目安が語られることがありますが、これは各事業者や紹介サービスが示している目安であって、法律で決まった基準ではありません。自分の取引量と、記帳を続けられているかどうかで判断してください。
税理士に頼めること・頼めないこと
税理士の業務範囲は税理士法で定められています。国税庁の第6 税理士でない者が行ってはいけない行為によると、税理士の業務は「税務代理」(税務官公庁に対する申告、申請、請求、不服申立て等の代理)、「税務書類の作成」(税務官公庁に提出する書類の作成)、「税務相談」の3つに分類されます。
同ページでは、税理士でない者がこれらの行為を行った場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される場合があると説明されています。記帳指導や計算書類の作成、財務書類の記載内容に関する説明も、禁止行為として挙げられています。
つまり、税務の判断そのものを依頼できる相手は税理士に限られます。知人やコンサルタント、あるいはAIに「この経費は認められるか」を判断させて、それを根拠に申告するという進め方はできません。
AIは、自分の取引内容を整理して「税理士に何を聞けばよいか」を洗い出したり、受け取った説明の分からない用語を調べたりする用途には使えます。一方で、税務上の判断そのものをAIに代行させることはできません。上記のとおり税務相談は税理士の業務であり、AIの回答は税務上の根拠になりません。最終的な判断は、税理士または国税庁が案内している税の相談の窓口で確認してください。
費用の考え方と見積もりの取り方
税理士報酬は自由化されており、事務所ごとに設定が異なります。確定申告だけを依頼する場合と、月々の顧問契約を結ぶ場合でも金額の考え方が変わります。インターネット上には相場としてさまざまな金額が示されていますが、これらは各事務所や紹介サービスが公表している目安であり、自分の場合の金額とは限りません。
見積もりを取るときは、次の情報を先に伝えると話が早く進みます。
- 年間の売上規模と、おおよその取引件数(月あたり何件仕入れて何件売れているか)
- 使っている販路(Amazon、楽天、その他)と、その数
- 現在の記帳の状態(会計ソフトを使っているか、まったく手つかずか)
- 依頼したい範囲(確定申告のみか、記帳から任せたいか、通年の相談も含めたいか)
- 青色申告か白色申告か、青色申告特別控除の何万円を狙っているか
とくに「記帳が手つかずかどうか」で作業量が大きく変わります。自分で記録を整えてから依頼するほうが、結果として依頼範囲を絞れます。
税理士紹介サービスで見積もりを取る
個人事業主として確定申告を依頼するかどうかを検討している方向けの紹介サービスです。複数の事務所を比較したいときの選択肢になります。
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依頼する前に自分で準備しておくもの
販路ごとに散らばっている売上データと、仕入れの記録を1か所に集めます。利益計算で使っている手数料や送料の情報も、同じ場所に置いておきます。
仕入れの請求書・領収書を、取引ごとに確認できる形で保管します。仕入先・日付・商品・数量が分かる状態にしておくと、後から確認する手間が減ります。
年末時点で売れ残っている在庫の数量と仕入額を確認します。在庫は経費の計上時期に関わるため、集計されていないと申告内容が固まりません。
判断に迷っている取引を、具体的な状況とあわせて書き出します。「家事按分をどう考えるか」のように抽象的にせず、「自宅の一室(何畳)を保管と作業に使っている」という事実まで書いておくと、相談が具体的になります。
青色申告をしたい場合、事前に承認申請が必要です。提出期限は開業届とは別に定められているため、税理士に依頼するかどうかを決める前に、この2つの手続きの状況を確認しておいてください。
頼まない場合に使える相談先
税理士に依頼しないと決めた場合でも、疑問をそのままにする必要はありません。国税庁は税の相談のページで、チャットボット、タックスアンサー(よくある税の質問)、電話相談といった相談方法を案内しています。制度の一般的な内容については、これらで確認できます。
ただし、個別の取引について「自分の場合はどう扱うべきか」という判断が必要な段階になったら、税理士に相談するほうが確実です。判断を保留したまま申告してしまうより、費用をかけて確認したほうが結果的に安く済むこともあります。
よくある質問
Q. せどりの売上がいくらになったら税理士に頼むべきですか?
法律で決まった基準はありません。金額よりも、帳簿を継続してつけられているか、青色申告特別控除の要件を満たせているか、自分で判断できない取引が出てきたか、の3点で考えるほうが実態に合います。
Q. 税理士以外の人に確定申告を手伝ってもらうことはできますか?
国税庁のページによると、税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の業務とされ、税理士でない者がこれらを行った場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される場合があると説明されています。記帳指導や計算書類の作成も禁止行為として挙げられています。単純な入力作業の手伝いと、税務上の判断は分けて考えてください。
Q. 会計ソフトを使っていれば税理士は不要ですか?
会計ソフトは記帳と書類作成を助けるものですが、個別の取引をどう扱うかという判断まで代わってくれるわけではありません。記帳が続けられていて判断に迷う項目がなければ自分で進められますし、迷う項目が増えてきたら相談を検討する、という順序で考えてください。
Q. 確定申告の時期になってから依頼しても間に合いますか?
事務所によって受付状況が異なり、繁忙期は新規の依頼を受けていない場合もあります。依頼を考えているなら、時期が来る前に問い合わせておくほうが選択肢が広がります。
Q. 青色申告特別控除の65万円は税理士に頼まないと無理ですか?
そのようなことはありません。国税庁のNo.2072によると、65万円の控除は55万円の要件(複式簿記による記帳、貸借対照表・損益計算書等の添付、期限内提出など)に加えて、電子帳簿保存を行うか、e-Taxで期限までに提出することが要件とされています。要件を自分で満たせるなら、依頼は必須ではありません。
本記事に記載した青色申告特別控除の要件(65万円・55万円・10万円)と、税理士の業務範囲および税理士でない者が行った場合の罰則は、本記事作成時点(2026年8月)に国税庁の公式ページで確認した内容です。制度は改正される場合があるため、実際に判断する際は必ず国税庁の最新情報、または税務署・税理士に確認してください。税理士報酬の金額については、公的に定められた相場はありません。
確定申告は自分でもできますし、始めたばかりの段階で税理士を探す必要はほとんどありません。判断の分かれ目は売上金額ではなく、帳簿を継続してつけられているか、青色申告特別控除の要件を満たせているか、自分で判断できない取引が出てきたかの3点です。税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の独占業務なので、判断そのものを税理士以外に任せることはできません。費用は事務所ごとに異なるため、取引量と依頼範囲を伝えたうえで見積もりを取ってください。まずは、いま自分の記帳がどこまで進んでいるかを確認するところから始めてみましょう。


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